行列式を行列で偏微分する公式の証明
機械学習の勉強をしているのですが,EMアルゴリズムの数式を理解できず,線形代数の勉強を始めました...
今回は,線形代数でよく使う以下の公式の証明を行います.
ここで,はn次元の正則な正方行列とします.
できるだけ視覚的にわかりやすく示せればと思っています. では,証明を初めていきます.|A|はスカラーなので,Aで偏微分すると,以下のようになります.
ここで,は行列Aのi行j列成分を表しています.
では,それぞれの要素について考えることにします.行列Aに対する成分の余因子をとします.
|A|は余因子展開により,Aのそれぞれの行,列について,以下のように表すことができます.以上より,求めたい各要素の偏微分について以下の式が成り立ちます.
よって,以下が成り立ちます.
ここで,余因子行列は以下のように表せます.
2つの式(1), (2)を見比べると,転置になっていることがわかります. したがって,(1)はAの転置行列の余因子行列ということになります.
逆行列の定義 を用いて,以下のように変形します.
以上より,題意を示すことができました.
いかがだったでしょうか.偏微分したときに,なぜ転置が起こるのかの理解の助けになれば幸いです.
参考文献
この記事は,以下を参考にしました.
余因子と余因子展開 | 大学1年生もバッチリ分かる線形代数入門